近年のNBAではスリーポイントの増加やウィング中心の攻撃がメインとなり、結果としてスイッチディフェンスが多用されるようになりました。従来であればインサイドで存在感を発揮し、リムプロテクトができれば素晴らしいデイフェンダーでしたが、現在は複数ポジションが守れるというのがいいディフェンダーの要素となっています。
このような2010年代の時代の変化の中、だれがベストディフェンダーなのかということについてBleacher Reportでは2009-10シーズンから2018-19シーズンでのスタッツ、賞、チームの成功への影響にスポットを当てランキング形式で発表していましたので紹介します。
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第5位
トニー・アレン
トニー・アレンはこの年代においてスティールパーセンテージでトップに立ち、10年の間でオールディフェンシブチームに6回選ばれていますが、このような数字が彼をここにランクインさせているのは確かですが、彼の真価はこのような数字ではなく選手による彼のディフェンダーとしての評価です。コービーブライアントは2014年にロサンゼルスデイリーニュースに対して次のように語っています。
「彼(トニー・アレン)は基本的に守備的であり、誰よりもディフェンシブにプレーする。また彼は個で勝負しようとすることを望んでいる。これは珍しいことだ。僕と対面するほとんどのディフェンダーはヘルプを求めるが、彼がヘルプを求めているのを聞いたことがない。」
これがまさにトニーアレンです。決して妥協せず、最も脅威となるペリメーターでのマッチアップを引き受けていました。この193cmのウィングは、スクリーンに動じず、パスレーンでボールを強奪し、ディフェンス面で極度のフィジカルと自信をもたらしました。自己顕示欲の強いトラッシュトークはビッグスコアラーの専売特許ですが、アレンのそれは彼がいかに優れたディフェンダーとして認知されているかを表しています。
▼トニーアレンのロックダウンディフェンス
第4位
クワイ・レナード
クワイレナードはペリメーターディフェンスにおいてトニーアレンより脅威的な唯一の選手です。レナードは2014-15と2015-16のシーズンでディフェンシブプレイヤーオブザイヤーに輝き、彼がプレーした8年の間で5回もオールディフェンシブチームに選ばれています。そして2014-15 から 2016-17の3シーズンは連続してファーストチームに選ばれています。またレナードはディフェンシブボックスのプラス/マイナスにおいて全体で6番目で、ウィングでは最高ランクです。
理想的なディフェンシブなウィングに求められるものとして最初に挙げられるのは強さ、長さ、優れた手の3つです。レナードはそれらをすべて持っており、それらを組み合わせて、通常の攻撃と防御のダイナミクスを真に覆すことができる稀有なディフェンダーです。レナードはボールハンドラーを捕食者から獲物に変えました。
時々ディフェンスは複雑に見えます。綿密な調査、対戦相手の傾向に関する知識、個別のマッチアップが大きなスキームにどのように適合するかについての理解が必要です。レナードはすべてのノイズをカットし、「ボールを持っているやつからボールを奪えばいいんだろ?」とシンプルに行動しているように見えます。
▼マクレモアから2回連続でボールを強奪するレナード
第3位
ルディ・ゴベール
ゴベールは2014-15シーズンの最後の数週間までフルタイムのスターターにはなりませんでしたが、この10年で最も純粋なリムプロテクターとしてのルディゴベールの地位は疑いの余地がありません。
2度のディフェンシブプレーヤーオブザイヤー(集計している期間に入りませんが、NBAのコーチの間では今シーズンのゲームのトップ2のディフェンダーの1人と見なしています。)は毎年、上位5%のブロック率を記録しています。ゴベールが10,000分以上プレーしたプレーヤーの間でブロック率でリードしているのは当然のことです。
ゴベールは2016-17 年ディフェンシブウィンシェアでリーグをリードし、ディフェンシブボックスプラス/マイナスで10年間全体で9位にランクされています。
ゴベールのオンとオフのディフェンシブインパクトは2018-19年に少し落ちましたが、全体的な実績は、彼のチームのストッピングパワーに大きな影響を与えています。ゴベールがプレーしたこの10年の間の6年のうち4年において、ゴベールがフロアにいれば、100ポゼッションで最低でも7ポイント、ディフェンシブレーティングが改善します。
ゴベールがそのような違いを生む理由を理解することは難しくありません。
7’1インチで7’9 “のウィングスパンを誇るゴベールは、レーンで得点しようとする選手たちにシンプルに立ちはだかって、希望を消し去ってしまいます。彼のブロック数は印象的(新人依頼、毎年ゲームごとに少なくとも2.0ブロック)ですが、ゴベールの本当の影響は、攻撃的なプレーヤーがインサイドで得点しようとすることを阻止する方法によく反映されているかもしれません。
ゴベールがプレーしているときのゲームでは、対戦相手のリムでのアテンプトレートが急落します。彼のプレー中の近距離シュートの頻度の低下は優秀です。その数字は彼がスターターであったそれぞれの年においてビッグマンの上位9%に収まっています。
この10年でスリーポイント革命が起きてはいますが、リムでの得点は依然としてオフェンスにおいて需要な位置を占めます。ゴベールはこの分野において誰よりも成功を収めています。
▼ゴベールのディフェンシブプレーTOP10
第2位
ドワイト・ハワード
もし、調査の対象期間が2005年から2015年であったら、ハワードは断トツで1位だったでしょう。
ハワードは今回の調査機関において、ディフェンスが優れていたシーズンが2年であったにもかかわらず、2位にランクインしました。その2シーズンはディフェンスプレーヤーオブザイヤーを獲得しオールディフェンシブファーストチームに選出された2009-10年と2010-11年のシーズンです。またハワードは3季連続ファーストチームに選ばれており、5季連続でディフェンスリバウンドでリーグトップとなっています。
さらにハワードは2009-10年と2010-11年のディフェンシブウィンシェアでNBAのトップに立っています。2009-10年はディフェンスボックスプラス/マイナスの数字を倍増させ、リーグトップに立っています。ついには、この10年はピークを過ぎ去っているにもかかわらず、いまだ 2010-19年においてトータルディフェンシブウィンシェアではトップに立っています。
ピーク時のハワードはゴベールのような従来のショットブロッカーとは一線を画していました。ハワードはガードのようなクイックネスで横方向でレーンをカバーできるため、真価を発揮するのにゴール下に固定している必要はありませんでした。
純粋な運動能力オバケであるハワードは、トランジションでガードを追いかけたり、ゴールの正方形の上からバレーボールのスパイクのようなブロックをしたり、ディフェンスリバウンドを確保するために瞬く間に床から跳びはねることができました。
▼機動力抜群の頃のハワード
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第1位
ドレイモンド・グリーン
ドレイモンド・グリーンが登場するまで、我々は5ポジション守れるプレイヤーについて話題に上がりませんでした。6.6フィートのフォワードがゴールデンステートウォリアーズの王朝を支えるの見て、皆第2のグリーンを探しましたが、誰も見つけることはできませんでした。
ハワードやゴベールでもリーグで恐れられるようなバックコートをシャットダウンしたハイライトはありません。しかしグリーンにはそういうことが多くある。フロアを駆け回り、ワンポゼッションで5ポジション守ることもあります。
例えば2対1となっているなど、通常、不利と考えられる状況にも関係なく、グリーンはストップさせることができると感じさせます。
上の動画では、グリーンがパスと同じくらい速く移動しながら、横方向にシャッフルし、体の向きをすべて変えながら、ノアボンリーをブロックするために高くジャンプしていますがこのようなプレーができる選手はほかにいません。
グリーンがセンターを守り、すべてのスクリーンにスイッチする能力は、ウォリアーズのデスラインナップの運用を容易にし、ウォリアーズに3つのタイトルを獲得させ、10年間で最も成功したチームにしました。ゴールデンステートの運営にとって、ステファンカリーはリーグを大幅に変えるほど重要な人物でしたが、グリーンのような現代的で最も精巧で最も用途の広いディフェンダーがいなければ、ウォリアーズはこれらのリングを勝ち取ることはできなかったでしょう。
いかがでしたでしょうか。近年の印象からハワードが2位にいるのはかなり以外だったのではないでしょうか。2位と3位がいわゆるビッグマンが入っていますが、ちなみにデアンドレジョーダンはこの期間、オールディフェンシブファーストチームに2回(2014-2015年、2015-2016年)、リバウンド1位に2回(2013-2014年、2014-2015年)を記録しています。その他、ディフェンシブウィンシェアがこの期間の全体で3位と優秀な記録を残していますので上位にランクインする資格はあると思いますが、ゴベールほどインサイドで支配的ではなかった印象ですし、グリーンはもちろん全盛期のハワードほどの機動性も有していなかったので、このメンバーに割って入るのは難しそうです。
その他、6回のオールディフェンシブファーストチームに輝いているクリスポールも候補としてノミネートされていますが、複数のポジションをスイッチで対応できないことを理由に落選しています。
1位のドレイモンドグリーンは納得の結果だと思います。グリーンのいるスモールラインナップ=ウォリアーズ、いないスモールラインナップ=今のロケッツ(十分強いですが)というイメージです。当時、グリフィンの得意としていたファールドローしながらのゴール下での得点は、ことごとくグリーンにつぶされていたのでグリーンがいる間はウォリアーズには勝てないなあと漠然と思った記憶があります。実際に、クリッパーズはウォリアーズが優勝した2014-2015年のシーズン以降、ロブシティ終焉までの3シーズンで1勝11敗と散々な結果です。それが新チームになって、レナード、ポールジョージもいない中でプレイオフで2回勝つのですから皮肉な話です。