昨日のドラフトナイト、クリッパーズは例年通り動きました。早速その動きを振り返ってみましょう。
・ピストンズ、ネッツとの3者間トレード

LACの獲得:ルーク・ケナード、ジャスティン・パットン、ジェイデン・スクラブの権利(55位指名)、ポートランドの2023年 2巡目指名権、デトロイトの2024年 2巡目指名権、2025年 2巡目指名権、2026年2巡目指名権
LACの放出:ロドニー・マグルーダー、 ランドリー・シャメット、レジー・ペリーの権利(57位指名)
BKNの取得:ランドリー・シャメット、ブルースブラウン、レジー・ペリーの権利(57位指名)
BKNの放出:ジャナン・ムサ、サディック・ベイの権利(19位指名)、ジェイレン・ハンズの権利(56位指名)、トロントの2021年 2巡目指名権
DETの取得:ロドニー・マグルーダー、ジャナン・ムサ、サディク・ベイの権利(19位指名)、トロントの2021年 2巡目指名権
DETの放出:ルーク・ケナード、ブルース・ブラウン、ポートランドの2023年 2巡目指名権、デトロイトの2024年 2巡目指名権、デトロイトの2025年 2巡目指名権、デトロイトの2026年2巡目指名権
これらの指名権は全てプロテクションはない模様です。正直なところピストンズのしたいことはよくわかりません。ピストンズの有望株だったルーク・ケナードとブルース・ブラウンを放出して今年の19位指名であるサディック・ベイとロドニー・マグルーダーを獲得しています。ケナードとブラウンはそれぞれ昨シーズン1試合平均32分、28分出場していて、しっかりローテーションに入っています。さらに言えばケナードはまだ入団3年の若手選手なのに平均得点は15.8Pとローズ、ドラモンドに続くチーム第3位です(グリフィンより上)。ベイのことはよく知りませんが、19位指名権の選手にこの成長曲線より上に行くことを期待するのは相当なギャンブルです。ムサに期待しているとも思えません。
一方のクリッパーズ、ネッツはWinNowチームとして適切なローテーションプレイヤーを獲得した印象です。クリッパーズはさらにこのトレードで2巡目指名権を多く集めていますので、相当上手くやっています。
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・ケナードはクリッパーズにとってアップグレードなのか?
結論から言うとYesだと思います。
まずは二人の昨シーズンのStatsを比較してみましょう。
Age | Min | Pts | Ast | Reb | FG% | 3p% | |
Kennard | 23 | 32.9 | 15.8 | 4.1 | 3.5 | 44.2% | 39.9% |
Shamet | 22 | 27.4 | 9.3 | 1.9 | 1.9 | 40.4% | 37.5% |
出場時間の違いはありますが、スタッツだけでも完全にアップグレードです。ピストンズにはドラモンド、グリフィンというオールスターがいて、ケナードがファーストオプションではないことを考えれば、クリッパーズにおけるシャメットとさして状況は変わらず、比較対象とすることに大きな不公平感はありません。
シャメットはクリッパーズ2季目の昨シーズンは、シュートだけでなく、よりボールハンドリングも行うよう指導されていました。ドックリバースは開幕前、ステファンカリーのようなハンドリングもして3Pも打つような選手になるようシャメットに期待を持っていました。しかし、これがシャメットの停滞につながります。コンボガードのようなスタイルは彼には合わず、結果的に3pの確率も落としてしまいました。
一方、ケナードはクリッパーズがシャメットに期待していた成長曲線を体現している選手なのかもしれません。平均1.8のアシストから今季4.1と急激に数字を伸ばしています。下のハイライトだけでも優れたPnRハンドラーであることがわかります。
さらに、見てわかる通り、スポットアップシュートだけでなくドリブルからのプルアップ、3pだけでなくミドルレンジと得点の引き出しも多いです。23歳という年齢を考えれば、相当アップサイドがあるのでは期待せずにはいられず、MIPもあるのではと夢が膨らみます。
▼シャメットとケナードのショットチャート
ケナードもシャメットと同じシャープシューターの類型ですが、ミドルレンジなど得点の種類の豊富さが見て取れます。
Luke Kennard on the left, Landry Shamet on the right. pic.twitter.com/SlEDEzktC7
— Justin Russo (@FlyByKnite) November 20, 2020
・ありがとう。シャメット
ここまでケナードの優位性を書きましたが、シャメットに失望していたわけではありません。このトレードが起こる前までは、シャメットは放出してはいけないクリッパーズの宝だと感じていました。
The biggest shot by Landry Shamet with the Clippers:
Down one in Game 2 vs. the Warriors, Shamet nails the go-ahead 3-pointer to give the Clippers the lead. LA held on, completing the largest playoff comeback in NBA history (down 31 points).pic.twitter.com/iIEDMI3iym
— Tomer Azarly (@TomerAzarly) November 20, 2020
ファンならウォリアーズとのプレイオフ、31点差からのカムバックにおいて決勝スリーをシャメットが決めたシーンを忘れた者はいないでしょう。その他、加入初戦での活躍や昨季のセルティックス戦でのOTに持ち込むロングスリーなど記憶に残る勝負強さを見せていました。10年後に振りかえればシャメットがオールスター級となり、このトレードは失敗と言われるかもしれません。ただ今年優勝という視点から見ると適切なアップグレードだと信じています。
逆にネッツの場合であれば、アービング、もしかすればハーデンとトップクラスのハンドラーがいますから、シャメットは本来のシューターとしての職務に専念できます。ただハーデンとのトレードに巻き込まれるかもしれませんけどね。
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・ジェイデン・スクラブの獲得とパットンの未来は
クリッパーズは55位指名で、ジェイデンスクラブを指名しました。スクラブはJohn A. Logan大学から2004年以来の短大卒のNBA選手として選出されました。長所は身体能力とスコアリング能力のようでパスやディフェンスは苦手のようです。大学トップリーグでの経験がないので未知数で、おそらく2wayからのスタートかと思います。ルーウィリアムズのようなオフェンス特化の選手になればいいですね。
パットンは元16位指名の23歳センターですが、NBAで出場機会は今までほぼなく契約も無保証のようなのでウェイブかサラリー合わせでトレード放出が予想されます。そうでなくても若手センターの枠は渋滞気味です。
・ドラフト33位でダニエル・オツルを獲得
このトレードの他にクリッパーズはニックスと2023年の2巡目指名権と引き換えに今年の33位指名権を獲得し、ダニエル・オツルを獲得しています。リムプロテクションとシューティングポテンシャルを秘めたセンターのようですが、ここで気になるのが、去年1巡目指名したカベンゲリとスキルセットがよく似ているように思われる点です。
トレードまでして獲得したい選手だったのか、カベンゲリが期待外れだったのか思惑はわかりません。センターについてはプレースタイルは違えど、ズバッツ、ハレル、カベンゲリと若手のセンター枠がいっぱいいます。このあたりをどのようにクリッパーズが運営していくのかは見ものです。